せどらーとは本を無価値にするためにボランティアする人

 せどらーは売れない在庫をせっせと集めて、それを1円刻みで毎日必死で本の価値を無価値にしていく人である。

 せどりは在庫を増やせばいいというが、売れない本をいくら集めても売れないものは売れない。せどらーが売れていないのは、アマゾンの価格がすべて1円に収斂されていくのを見てもわかる。

 売れていれば1円の価格をつける人なんかいない。ところが売れないものだからすべて1円の在庫になっていくわけである。傍から見ているとバカじゃないのかと思うのだが、本人たちは必死でやっているのだから、あまりそうあからさまに皮肉を言う人はいない。

 ふと気がつくのが早いか遅いかだけで、いずれこの商売が割りに合わないことに気がつくのだろうが、手遅れになってどうしょうもなくならないと本人たちはたぶん気がつかない。新規参入者が多いわりに誰もが長続きしないのは、せどりという商売が思ったほど楽ではないことに気がつくからだろう。

 それでも意地を張ってやる人もいるのだろうが、そのうちにアフィリエイトやら情報商材やら、他人を食い物にするより詐欺的な商売に手を出してせどりなんかやめてしまうだろう。

 せどりとは低所得層が夢を見るためにする労働で、せどらーとは、本を無価値にするために日々努力するボランティアの人である。それを食い物にするのが情報商材を売る人で、結局このあたりに興味を持った人は、まとめて損させられる。よくもまあ、こんな底辺のうごめきの中で夢を見ることができる人がいるものだ。