購買者なき値下げ競争

 せどりビジネスで一番馬鹿げてると思うのは、せどらー同士の不毛な値下げ競争だ。客のいないところで、ただせどらー同士が競争して値段をどこまでも下げていく。自分だけが取り残されていくのではないか、という恐怖心と小心がそうさせているのだろうが、そもそも「お客さんがいない」のに、ただただ恐怖心のみで自分の持っている本の価値を下げていくわけである。

 誰かがひとり値段を下げると、取り残されたくない、売り切りたい、負けたくない、という気持ちになっていくのだろう。その書籍に自分なりの価値を勝手に付け足したりすることができないから値下げ競争くらいしか手がない。したがって、一度「値下げ競争」が始まると、いきつく先は「1円200出品者」となる。

 結局、値段を高くしたままでも安くし続けても、売れないものは売れない。しかし、値段を下げれば売れると勘違いし続けるせどらーがいる限り、この商売は不毛な消耗戦で自爆する。

 いずれ成り立たなくなるビジネスの典型として「せどりビジネス」が語られることになるのは、そう遠くない将来だと思う。構造的に消耗戦を強いられるビジネスなのだから衰退は当事者が考えている以上に早く訪れるはずだ。

 本当に儲かるビジネスというのは、商品に創意工夫して付加価値がつけられるビジネスのほうだ。