バカでもできるビジネス＝バカがどんどん参入するビジネス

　せどりというのは単純なビジネスである。ブックオフで安く買って、アマゾンで高く売ればいい。それだけだ。どんな本を買うべきか、いつ買うか、いくらで売るかは、それぞれ微妙な差があったりするだろうが、基本的にはブックオフで仕入れたものをアマゾンで売るのが基本だ。

　口は悪いかもしれないが、これはバカでもできるビジネスである。難しい資格も免許もいらない。すべての商売は安く買って高く売るのが基本だから、それにのっとっていると言えるのだが、それにしても難しいところは何にもない。どの本を買うかは携帯で調べればいいだけだし、数打てば当たる方式でも、文字通り数打てば売れていくので、ノウハウとは単に在庫を増やしていけばいいだけとも言える。

　というわけで、このビジネスには新人参入者がうじゃうじゃと沸いて出てくる。ふらりとブックオフに入れば、あちこちで携帯を持った妙な人間が何かやっている図になっているわけである。その姿に「せどり」の一面が見えている。

　ブックオフ等で古本を取ってアマゾンで売る。バカでもできるこの単純なビジネスは、バカでもできるがゆえに競争相手がおびただしく出現して過当競争このうえないということだ。

　おまけに、誰もが一刻も早く売り切ろうとするので、アマゾン・マーケットプレイスの販売価格は低下していく一方だ。どんどん低下していく。価格を調整するツールなんかが出てきているので、秒殺で価格は１円になっていく時代になるだろう。

　労力がかかって過当競争で利潤が低いという三重苦のビジネスでバラ色の将来を描けるはずもないし、そもそも将来があるかどうかも疑問だ。まあ、突き詰めてどことん在庫を増やしまくれる業者なんかは薄利多売でいけるかもしれないが、普通の人はいずれ、どうやってもつらい商売になるだろう。

　せどりは流行だけれども、永遠に続くビジネスではない。せいぜい小遣いが稼げるくらいが関の山だ。ということは、これで食ってこうと考える人間も多いようだがまあ無理だろう。

　バカでもできるビジネスは、そういう人間が大量に流入してくるのでビジネスとして成り立たなくなるのは目に見えているのである（バカ、バカと申し訳ないが、自分もそのひとりなので人を笑えない）。

　ブックオフやアマゾンのシステムがちょっとでも悪い方向に変わったら、もうアウトだろう。

　せどりとはそういうビジネスだ。今のままでは先が知れていると思うのは、恐らく少しでも考える力のある人間なら誰しも思うことであって、そう思わないのは、それこそ頭が弱いとまわりから思われているはずだ。