日に日にクズが積み上がる

 いつか売れるからそのまま在庫を取っておこう、という考え方もあるが、実のところせどりで売れ残った商品というのは、ライバルの過当競争のせいで、あっという間に1円の「クズ」と化して、しかもその1円の出品者が日に日に増えていくから、正直言うとまあ売れやしない。

 1円で売る人が200人もいる本があったりするが、こんなのはもうクズに等しい本だからあきらめたほうがいいだろう。売りたくとも売れないとはこんな本のことを言う。世の中はベストセラー本というのはベストな本だという認識があるが、せどりをする人間にとってベストセラー本というのはほとんどが急激に値崩れを起こすどうしょうもないバッドセラーという認識だ。

 ところが、アマゾンで出品していると、いずれすべての本が「価格1円、出品者200人」とかになると私は予測している。なぜなら、何度も言うがもう過当競争の世界に入っているからである。堰きとめようとしたところで、それは激流みたいなものだから、自分も一緒に流される。

 つまり、日に日にクズが積み上がる。在庫が増えて嬉しいと思うのは最初の数ヶ月だけで、あとは売れない在庫を抱えて頭を抱えることになる。もっともその在庫を30年くらい抱えていられるのであれば、いつか価値ある古本になる可能性も残されているが、30年後になってもせどりしている進歩のない人間がいたら、そちらのほうが本より価値ある天然記念物になってるかもしれない。

 30年後の話をしてもしかたがないのであれば今の話に戻すが、「価格1円、出品者200人」の本は中身が名作であれ何であれ、ビジネスとして見るとクズである。そして、アマゾンに出品するすべての本は、クズに向かって一直線に動いている。

 そうしているのは他でもない、せどらー自身なのだ。